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大阪地方裁判所 昭和55年(ワ)3369号 判決

原告

安齋ちぬ子

被告

平野直道

主文

一  被告は原告に対し、六〇八万六四一九円及びこれに対する昭和五四年一〇月三日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用はこれを五分し、その二を原告の、その余を被告の負担とする。

四  この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は原告に対し、一〇二四万四七五三円及びこれに対する昭和五四年一〇月三日から支払ずみまで年三分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  事故の発生

(一) 日時 昭和五四年一〇月二日午後六時一〇分ころ

(二) 場所 大阪府豊中市中桜塚三丁目八番二〇号先路上

(三) 加害車 自転車

運転者 被告

(四) 被害者 原告

(五) 態様 原告が右場所道路端寄りに佇立中、東から西に進行中の加害車が原告に衝突し、前輪で轢過した。

2  責任原因

一般不法行為責任・民法七〇九条 被告は、一〇段変速ギア付自転車に乗り、前記番地付近路上を進行中左眼に異物が入つたにもかかわらず、自転車を停車せずに、右手で左眼の異物を取り除くため、右眼をもふさぐ形で前方が全く見えないままの状態で走行した過失により前記事故を発生させた。

3  損害

(一) 受傷、治療経過等

(1) 受傷

原告は、前記事故により、右胸部・背部・右肩関節打撲挫傷、右肩関節脱臼、右上腕骨々折、右第二ないし第六肋骨々折転位、右外傷性気胸の傷害を受けた。

(2) 治療経過

入院

昭和五四年一〇月二日から同年一二月三日まで六三日間松本病院

通院

昭和五四年一二月四日から同五五年三月二七日まで同病院(実治療日数一日)

(3) 後遺症

原告は、前記受傷により、

(ア) 自賠法施行令別表後遺障害等級表一二級五号に該当する右第二ないし第六肋骨々折転位、右肩関節脱臼及び右上腕骨々折による右肩関節の運動制限、疼痛の後遺障害

(イ) 同表一一級一一号に該当する右胸廓(右第二ないし第六肋骨々折転位)の陥没による右肺への圧迫、右気胸残存、胸部痛、運動時の呼吸障害の後遺障害

が残存し、右(ア)、(イ)の後遺障害は併合繰り上げにより少くとも同表一〇級に該当する後遺障害が残存することになる。右症状は昭和五五年三月二七日固定した。

(二) 治療関係費

(1) ベツト差額料 三七万八〇〇〇円

(2) 入院付添費 三四万四一二〇円

(3) 医師、看護婦への謝礼 二五万六六〇〇円

(4) 入院雑費 六万三〇〇〇円

入院中一日一〇〇〇円の割合による六三日分

(5) 退院後自宅病室設備費 三四万三九二〇円

退院後自宅にベツド及び暖房器を設置した費用。右設備は原告の年齢、右半身が前記事故により不自由になつたためやむを得ずなしたものである。

(6) 家族見舞交通費、通信費 三六万一五六〇円

前記事故により原告は生命の危険さえある傷害を負つたため、医師の指示により子供を呼び寄せた。したがつて、単なる見舞以上のものであり、当然損害といわねばならない。右費用は、いずれも原告が子供らに払うことになつている。

(三) 逸失利益

(1) 休業損害 七一万五二〇四円

昭和五二年の賃金センサス第一巻第一表企業規模計、学歴計女子労働者六〇歳以上の給与額を基礎に、原告が前記事故により受傷し、症状固定時までの期間の分。

(2) 後遺障害による逸失利益 二八八万二三四九円

原告は、前記後遺障害のため労働能力を二七パーセント喪失したが、原告の症状固定時は昭和五五年三月二七日であり、この時点での原告の年齢は七七歳、その平均余命は八・九七年であるところ、原告は事故前きわめて健康であつたから、就労可能年数は右平均余命と同一にすべきであり、これを前記センサスを基礎に、年別ホフマン式により年五分の割合による中間利息を控除して算定すると右金額となる。

(四) 慰藉料

(1) 傷害による慰藉料 八〇万円

(2) 後遺障害に対する慰藉料 三二〇万円

前記後遺障害による原告の精神的苦痛を慰藉するには、老齢の点を考慮しても右金額を下らない。

(五) 弁護士費用 九〇万円

前記事故に対する被告及び被告の親権者の態度はきわめて不誠実なものであり、弁護士費用は当然被告が負担すべきである。

4  本訴請求

よつて、原告は被告に対し、前記3の合計金額一〇二四万四七五三円及びこれに対する本件事故発生の翌日である昭和五四年一〇月三日から支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1の事実のうち、(一)ないし(四)は認めるが、(五)は否認する。

2  同2責任原因は争う。

3  同3の事実のうち、(一)は不知、(二)ないし(五)は争う。

三  被告の主張

1  過失相殺

本件事故は、被告が自転車に乗つて道路中央よりやや左側を東から西に向かつて進行中、折から現場付近の墓地の掃除をして集めたごみを捨てるため、右道路を横断してきた原告の持つていた塵取りと被告運転の自転車の前輪とが衝突し、原告がその場に転倒したというものであつて、被告の前方不注視の過失は否定できないとしても、原告が慢然と塵取りを被告の自転車の前に差し出すような形で横断してきた過失によつて発生したものであるから、原告の過失が大きく原因しており、相当の過失相殺(四〇パーセント)がなされるべきである。

2  原告の損害

(一) ベツド差額料について

原告が本件事故により個室に入る必要性があつたかどうか疑問であるうえ、仮にその必要性が認められ、室差額料の支払が必要であつたとしても、室協力費は、原告が松本病院に任意に支払つたものと考えられるから、右室協力費を被告に請求するのは不当である。

(二) 医師、看護婦への謝礼について

原告が任意に謝礼をしたもので、その請求は不当である。

(三) 入院雑費について

入院中の雑費は、一日七〇〇円の割合で、六三日分として四万四一〇〇円を超えるものではない。

(四) 退院後自宅病室設備費について

必要性について明確な証拠はなく、右費用の請求は不当である。

(五) 家族見舞交通費、通信費について

原告の夫が入院の手配等のために要した交通費はやむを得ないとしても、同居していない他の家族のための交通費、通信費の請求は不当である。また、その交通費は各家族が支払つており、原告が支出したものではなく、本請求は認めるべきではない。

(六) 休業損害について

原告は、退院の翌日たる昭和五四年一二月四日より、症状固定時である昭和五五年三月二七日までの間に一日しか実治療日数がなく、右一日の通院は後遺障害の診断を受けるために通院したものと考えられるところ、骨折の場合は、骨癒合した時点で症状固定と考えられるから、原告は退院時である昭和五四年一二月三日当時で症状固定したと認めるべきである。したがつて、原告が当時七六歳で、主婦として一か月平均一一万四〇〇〇円の休業損害があつたとしても、原告の休業損害は入院六三日間分に相当する二三万九四〇〇円を超えるものではない。

(七) 後遺障害による逸失利益について

七七歳の就労可能年数は三年であり、原告の後遺障害等級はせいぜい一二級一二号であり、労働能力喪失率は一四パーセントとみるべきである。したがつて、その逸失利益は五二万三〇四一円を超えるものではない。

(八) 慰藉料について

傷害による慰藉料としては四五万円が相当であり、後遺障害に対する慰藉料としては原告が老齢であるので一〇〇万円を超えるものではない。

(九) 弁護士費用について

本件は自動車による交通事故ではなく、加害者である被告は事故当時高校生であつたから、弁護士費用は被告に負担させるべきではない。

四  被告の主張に対する原告の反論

過失相殺について

本件事故は、被告が、左眼に異物が入つたにもかかわらず、自転車を停車せず、右手で左眼の異物を取り除くため右眼をもふさぐ形となり、前方が全く見えない状態のまま走行を続けたため発生したもので、被告の全面的、一方的な過失が原因であり、過失相殺の余地はない。

第三証拠〔略〕

理由

第一事故の発生

請求原因1の事実のうち、(一)ないし(四)は当事者間に争いがなく、同(五)の事故の態様は後記第二で認定するとおりである。

第二責任原因

一  前記第一の争いのない事実に、成立に争いのない乙第一号証の四ないし八及び証人安齋孝の証言、被告本人尋問の結果、並びに弁論の全趣旨を総合すると、次の事実が認められる。

1  本件事故現場は、東西に通ずる幅員六メートルの前方の見通しの良い歩車道の区別のない、平たんなアスフアルト舗装道路(以下、本件道路という)上で、西方への一方通行、最高速度は毎時二〇キロメートル、駐車禁止の各規制がなされており、事故地点から約二三メートル東方で、南北に通ずる幅員約七・九メートルの道路と交差して十字型交差点となつている。本件道路の両側路端には幅二〇センチメートルの側溝があり、道路の南と北は墓地である。本件道路は、平素から東西及び人の交通量は多くない(ちなみに、事故の翌日午後二時四五分から同三時一五分までの間に実施された実況見分時には、一〇分間に、本件道路を通行した車両は一五台であつた。)。事故当時、付近路面は乾燥していた。

2  被告は、当時高校生で、事故当日学校でクラブ活動を終え、自転車に乗つて下校の途中、前記南北道路を南進し、前記交差点を右折して本件道路に入つたところ、左眼に異物(ごみ又は虫)が入つたので、これを取り除くため、右手をハンドルから離して、右手の甲で左眼をこすり、前方が見えない状態のまま本件道路のほぼ中央付近を、ペダルをこがずに惰力で走行していたが、一度前方を見るために左眼をこすつていた右手を取り払つた際、自車前方約二・二メートルの地点を右から左に横断歩行中の原告の姿を認めて、あわてて急制動の措置をとろうとしたが間に合わず、自車前部を原告の左半身に衝突させて原告を路上に転倒させた。原告は、事故当時七六歳の老婆であるが、本件道路付近の落葉を掃き集めて、本件道路南側の墓地の道路寄りにあるごみ焼却場に捨てるため、本件道路を北から南に横断すべく二、三歩進んだところ、折りから西進してきた加害車に衝突されたものである。以上の事実が認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。

被告は、原告がごみを入れた塵取りを差し出すような格好で本件道路を横断したため、原告の持つていた塵取りと被告の自転車の前輪とが衝突したと主張し、証人松本明宏の証言により真正に成立したものと認められる乙第二号証にはこれに副うかのような記載があるが、右記載は前掲乙第一号証の五、同七、同八及び被告本人尋問の結果に照らしてにわかに措信し難く、他に右主張を認めるに足りる証拠はない。

二  前記認定の事実関係のもとにおいては、被告は、自転車を運転するものとして、前方左右を注視し、進路の安全を確認して進行し、もつて事故の発生を未然に防止すべき注意義務があるところ、これを怠り、左眼に入つた異物を取り除くことに気を奪われて、前方注視を欠いたまま自転車を進行させた過失により本件事故を惹起したことが明らかであるから、被告には民法七〇九条により、本件事故により原告に生じた損害を賠償する責任がある。

第三損害

一  受傷、治療経過等

いずれも成立に争いのない甲第一、第二、第一八号証及び証人松本明宏の証言によれば、請求原因3の(一)の各事実が認められる。

二  治療関係費

1  ベツド差額料 三七万八〇〇〇円

成立に争いのない甲第三ないし第九号証及び証人松本明宏、同安齋孝の各証言によれば、原告は松本病院における入院期間中個室を使用し、個室使用による差額として一日当り六〇〇〇円、合計三七万八〇〇〇円を松本病院に支払つていることが認められ(なお、甲第四、第八、第九号証記載の室協力費は個室使用の差額のことであることが認められる)、これに反する証拠はない。

被告は、個室使用の必要性を争うが、前掲証人松本明宏の証言により認められる原告の入院当初の症状、及び外傷性気胸、呼吸障害による肺炎の感染防止等治療上の必要性に照らすと、個室の使用は必要かつ相当であると認められる。

2  入院付添費 三四万四一二〇円

成立に争いのない甲第一〇、第一一号証及び証人松本明宏、同安齋孝の各証言によれば、原告は入院期間中、全期間にわたつて付添看護の必要があつたものと認められ、職業付添婦による付添費用として右金額を要したことが認められる。

3  医師、看護婦への謝礼 五万円

成立に争いのない甲第一七号証(二枚目)及び証人安齋孝の証言によれば、原告は、治療にあたつた医師、看護婦等へ謝礼として合計二五万六六〇〇円相当の金品を贈つていることが認められるが、前認定の原告の傷害の内容、治療経過等にかんがみると、右謝礼のうち社会的に相当と認められるのは五万円程度というべく、右の限度において本件事故と相当因果関係のある損害と認める。前掲証人安齋孝の証言中これに反する部分は採用できない。

4  入院雑費 六万三〇〇〇円

原告が六三日間入院したことは前記一認定のとおりであり、そうすると、経験則上、右入院期間中一日一〇〇〇円の割合による合計六万三〇〇〇円を入院雑費として要したものと認められる。

5  退院後自宅病室設備費 六万九八〇〇円

成立に争いのない甲第一五、第一六号証及び証人安齋孝の証言によれば、原告は退院後自宅にベツド(代金六万九八〇〇円)及び暖房器(代金二七万四一二〇円)を購入したことが認められるが、前認定の原告の後遺障害の内容及び程度に照らすと、ベツドを使用することは、身体が不自由となつたためこれを補完する意味においてやむを得ないものと思われ、その購入費用は本件事故と相当因果関係のある損害と認め得るが、暖房器については、原告が高齢であること及び後遺障害の内容、程度を考慮に入れても、家族の共用に供され得るものであるうえ、その購入費用に照らすと、他に特段の立証のない以上、本件事故と相当因果関係のある損害ということはできない。

6  家族見舞交通費、通信費 八万八四六〇円

成立に争いのない甲第一七号証(一枚目)及び証人安齋孝の証言によれば、原告が本件事故のため入院したことにより、原告の夫が自宅から病院までのタクシー、電車賃等の交通費として合計四万五五〇〇円を要したほか、原告の長女ら子供達が住居地から病院へ駆けつけた交通費として合計二七万三一〇〇円及び原告の夫が子供らに電話連絡した電話料金合計四万二九六〇円(国際電話を含む)をそれぞれ支出していることが認められる。しかして、前掲証人安齋孝の証言及び弁論の全趣旨によれば、原告の長男は仕事の関係でアメリカに、長女は箕生市、二女は川西市、三女は川崎市にそれぞれ居住し、原告からはいずれも独立して生計を立てていることが窺われるところ、前認定のとおり、原告の入院期間中は職業付添婦が原告の付添看護にあたつており、そのほか家族による付添が必要であつたと認めるべき特段の証拠はないこと、また、子供らの右交通費を原告において返還又は償還すべきものと認めるべき事情も窺われない本件においては、原告が請求する右各費用のうち、原告の夫の交通費及び通信費(国際電話を含む)を除いては、本件事故と相当因果関係のある損害とは認められない。

三  逸失利益

1  証人安齋孝の証言及び弁論の全趣旨によれば、原告は本件事故当時七六歳の老婆であつたが、身体に格別の疾患はなく、夫と二人で生活し、主婦として家事労働に従事していたことが認められ、これに反する証拠はない。したがつて、その労働を金銭的に評価すれば、昭和五四年度の賃金センサス、産業計、企業規模計、学歴計、女子労働者(六五歳以上)の平均年収一五八万一九〇〇円の程度とみるのが相当であると考えられる。

2  休業損害 五二万二二四三円

前記一認定の事実と証人安齋孝の証言によれば、原告は本件事故により、昭和五四年一〇月二日から退院の日である同年一二月三日までの六三日間、家事労働に従事できなかつたと認められるが、その後の通院期間(昭和五四年一二月四日から翌五五年三月二七日まで一一五日間)については、治療経過(実治療日数一日)及び原告の業務が家事労働であることを考えると、労務に服することが相当制約されていたであろうことは推認するに難くないが、なおその労働能力喪失率は、右全期間を通じて五〇パーセントを超えるものではなかつたと認めるのが相当である。証人安齋孝の証言中、これに反する部分は採用できない。そうすると、原告の得べかりし利益の喪失は五二万二二四三円となる。

算式 一五八万一九〇〇円÷三六五×六三=二七万三〇四〇円

一五八万一九〇〇円÷三六五×一一五×〇・五=二四万九二〇三円

二七万三〇四〇円+二四万九二〇三円=五二万二二四三円

但し、円未満切り捨て、以下同じ。

3  後遺障害による逸失利益 一六九万一五〇九円

原告の傷害の内容、後遺障害の部位、程度のほか、原告の従事する業務が家事労働であること、原告は後遺症固定時七七歳の高齢であり、後遺障害の克服はかなり困難であると思われること(したがつて、現に就労中の者の後遺障害の程度判定につき有力な資料であると考えられる労働能力喪失率表をそのまま適用することは相当でない。)等を勘案すると、少くとも稼働能力の三〇パーセントを喪失したものと認められ、その就労可能年数は右症状固定時から四年間と考えられるから、原告の将来の逸失利益を年別のホフマン式により年五分の割合による中間利息を控除して算定すると、一六九万一五〇九円となる。

算式 一五八万一九〇〇円×〇・三×三・五六四三=一六九万一五〇九円

四  慰藉料 三〇〇万円

本件事故の態様、原告の傷害の部位、程度、治療経過、後遺障害の内容、程度及び原告の年齢その他諸般の事情を総合すると、原告の慰藉料額は右金額をもつて相当であると認める。

第四過失相殺

前記第二の一認定の事実によれば、本件事故発生については、原告にも、本件道路を横断する際、道路左方の安全を確認しないで横断を始めた不注意が認められるところ、原告の年齢及び前記認定の被告の過失の程度、態様等諸般の事情を考慮すると、過失相殺として原告の損害の一割を減ずるのが相当である。

そうすると、前記第三の二ないし四の合計額は六二〇万七一三二円であるから、その一割を減ずると、原告の損害額は五五八万六四一九円となる。

第五弁護士費用 五〇万円

本件事案の内容、審理経過、認容額等に照らすと、原告が被告に対し本件事故による損害として賠償を求め得る弁護士費用の額は、右金額とするのが相当である。

第六結論

以上の次第で、原告の本訴請求は、六〇八万六四一九円及び本件事故発生日の翌日である昭和五四年一〇月三日から支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で正当であるからこれを認容し、その余の請求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条、仮執行宣言につき同法一九六条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 川上拓一)

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